Developing Story
研究者のある一言から
兵庫県立人と自然の博物館の研究員三橋氏からのFirst Contact2000年暮れ間近な頃のメールでした。

「もっと気軽に誰でも使えるGISができないものだろうか?」と秘めたる想いを抱いておられた氏の眼には(株)昭文社から発売された地図ソフトSuper Mapple Digitalは機能的にも価格的にも非常に魅力的な製品に映ったそうです。


スタンドアロンからWeb
このメールの後、実際に氏にお会いし想いをお伺いして、Super Mapple Digitalの製品評価とシステム的な拡張性の検討段階に入りました。
製品の位置付けは1台のパソコンでのスタンドアロン利用というものでした。当初、これを少し拡張して、Super Mapple Digitalをデータ登録や検索のインタフェースとしつつ、その背後でOLEを利用しセンタデータベースへアクセスするという博物館内のCSSLANシステムという形態が考えられました。
これで、簡単なユーザインタフェースで「気軽に誰でも使えるGIS」という目的は一応達成されるのですが、このシステムの利用者は博物館まで足を運んだ人に限定されてしまうという「制約」も同時に有していました。

私たちはこの点にこだわり、氏の想いを超え、この「制約」を打破することを社内的な課題としました。

そこで着目したのがインターネットという一般に普及したインフラを使うというWeb化でした。ブラウザはMicrosoft Internet Explorerという制限付きながらWebページから地図ソフトのAPIを操作する方式を採用することとしました。これにより、サーバ側にWeb Open Databasecgi、クライアント側にInternet ExplorerSuper Mapple Digitalという「非常にコンパクトなシステム構成によるGIS」についての技術的な目処を付けました。この結果、パソコンとSuper Mapple Digitalさえあれば、普通の一般家庭からでもインターネット経由でGISの利用が可能となりました。

もう1つ課題としたのがClickableな分布図の実現でした。
登録したデータを検索したり個々に眺めるだけでなく、面として、或は、層(重なり)として視覚的に捉えること、そこから新しい発見を誘引することが不可欠な要素と考えられました。
そのため、単純に分布図としてマッピングするだけでなく、博物館の所蔵する生物分布・

植生・降雨・標高などの種々のデータに自分のデータを重ね合わせ多次元的に捉えるられること、分布図上の各分布点を選択すれば詳細な情報や詳細地図へクローズアップできることも課題として挙げました。
データの重ね合わせ(オーバレイ)には、植生・降雨・標高などのデータはメッシュマップなどに画像化し、その画像を背景にcgiJavaを用いてデータマッピングを行い分布図を完成させるという方式を構築しました。

これらを通じて、データ登録から分布図展開、詳細地図の検索までのすべてをWeb化することに成功し、いながらにして博物館データを使ったGISシミュレーションが実現できたのでした。これは同時に、博物館所蔵データ・研究成果の一般への公開と共有・有効活用を図る1つの手段を提供することにもなりました。


データ整理ツールとして
挑戦はこれだけにはとどまりませんでした。研究者のニーズとして、調査研究の過程で収集したデータに位置情報を付加しさまざまなソフトで応用利用するというものがあります。わざわざサーバのデータベースに保管するという大掛かりなものでなく、クライアントPC上の汎用的なファイルにデータ整理ができればというものです。

すべてのデータ登録画面でWebページからローカルディスクのcsvファイルへアクセスしていることやモバイル用データ収集ツールを提供(オプション)しているのは、こうしたクライアントでのデータ整理や応用利用を踏まえたものです。


コラボレーション機能を
もう1つ、私たちはこのシステムに、調査研究への研究者・研究機関、及び、一般の相互参画・共同研究のためのツールという姿も描いています。相互参画・共同研究においては必要不可欠なコミュニケーションの場を掲示板システムで補完しています。これは何も共同作業のための情報交換だけでなく、新たな切り口・視点について参画者の間で有意義に議論され次の方向性に展開していくという期待を込めたものでもあります。

私たちはこのシステムを通じて私たちの想いをいくつか具体化することができました。しかしその契機や発想のヒントをご提供頂いたのは兵庫県立人と自然の博物館の三橋氏・岸田氏を始めこのプロジェクトに参画された方々であります。改めて謝意を表したいと思います。

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